大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和37(オ)1165 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人村田善一郎の上告理由第一点について。

被上告人と訴外D間の所論賃貸借契約は、右Dと上告人間の本件賃貸借契約が存

続するときは当然消滅するとの条件付のものであること、右Dと上告人間の右賃貸

借契約は、Dのなした同賃貸借契約解除の意思表示が有効と認められるような事由

の存在が認められない結果、依然存続することは、原判決の確定するところであり、

右原審の判断は挙示の証拠関係に照らし正当である。所論は、ひつきよう、原審の

適法にした事実認定を争い、または、原判示に副わない事実を前提として、原判決

を非難するものであつて、採るを得ない。

同第二点について。

原審の確定した事実関係の下では、民法六一三条の法意に照らし被上告人がDに

支払つた本件賃料は同条によつて上告人の賃料を支払つたものと認めるのが相当で

ある旨の原審の判断は正当である。所論前段は、ひつきよう、独自の見解に立つて

原判決を攻撃するに帰するから、採用できない。また、所論準備書面には、所論の

主張事実が記載されているが、上告人(控訴人)は昭和三六年一一月一一日の原審

口頭弁論期日には、所論の準備書面中、控訴の趣旨訂正の部分を陳述しているだけ

であり(記録一二八丁)、原審が所論の主張を制限した形跡は、記録上何ら存在し

ない。従つて、この点に所論の違法は認められず、違憲の主張は前提を欠き、所論

は採るを得ない。

同第三点、第四点について。

所論賃料前払いの事実は原審で何ら主張、判断のない事実であり、これを前提と

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して原判決を攻撃する所論は採るを得ない。

同第五点について。

原判決の確定した事実関係の下においては、民法六一三条により、被上告人が訴

外Dに対し直接支払つた毎月金一六三〇円の約定賃料のうち金一〇二三円(転貸借

契約の約定賃料)の限度で、被上告人は右支払の結果、上告人に対する転借料の支

払義務を免責され、被上告人には上告人に対する転借料の延滞はないわけであるか

ら、上告人が被上告人に対してした契約解除の意思表示はその効力を生じないとし

た原判示は正当といわなければならない。所論は、右と異る独自の主張の下に原判

決を非難するものであつて、理由がない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 入 江 俊 郎

裁判官 下 飯 坂 潤 夫

裁判官 斎 藤 朔 郎

裁判官 長 部 謹 吾

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